東国に花開いた天平文化を偲ぶ「市川市・万葉植物園」8月1日/2010年

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今をさかのぼること1270年ほど前の時代、市川市は万葉集にゆかりの深い土地で特に真間の手児奈は有名で詠んだ歌の数も多く存在しているようです。古代の歌人の詠んだ歌によって、市川は全国的に知られるようになり、文化人が移り住むなど、ある時期東国に於ける「文化都市」であったようです。
万葉植物園は、素朴だった万葉人の心を忍び、その自然を愛した心を学ぶために造られました。万葉集ゆかりの花木類197種類を集めた和風庭園で、往時をしのべるよう花に関連する歌や作者などの説明板付けられています。

市川については東京のベッドタウン位の知識しか無かった私でしたので「古代の文化都市」が東国に存在したと云う歴史を知った時の印象はこんな感じのビビッドさでした。          
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     (注-1)聖武天皇の詔勅により天平13年(741年)律令
       政府が各国に設置した国衙の所在地を「国府」といいます。
       国府には国司が居住し、その地域を治める役割を担って
       いました。下総の国の国府は、市川市のその名も今に伝
       わる「国府台」に建立された。国府台は下総国府が設置
       されてから、千葉県北部のみならず、茨城、埼玉の一部
       も含めた広大な下総の国の中心地となり、律令時代以降
       は多くの建造物が構築されました。

     (注-2)「手児奈」(市川市HPから抜粋)
       水くみに集まる人びとの中で、とくべつに目立って美しい
       「手児奈」という娘がいました。手児奈は麻のそまつな着
       物をきて、かみもとかさなければ、はき物もはかないのに
       上品で、満月のようにかがやいた顔は都のどんなに着か
       ざった姫よりも、清く美しくみえました。
       ・・・「手児奈が通る道のアシはね、手児奈のはだしや白い
       手にきずがつかないようにと、葉を片方しか出さないという 
       ことだよ。」手児奈のうわさはつぎつぎと伝えられて、真間
       の台地におかれた国の役所にもひろまり、国府の役人や
       都からの旅人までやってきて結婚をせまりました。そのよう
       すは夏の虫があかりをしたって集まるようだったということで
       す。 
       手児奈は、どんな申し出もことわりました。そのために手児
       奈のことを思って病気になるものや、兄と弟がみにくいけん
       かを起こすものもおりました。
       それをみた手児奈は、「わたしの心は、いくらでも分けること
       はできます。でも、わたしの体は一つしかありません。もしわ
       たしがどなたかのお嫁さんになれば、ほかの人たちを不幸
       にしてしまう でしょう。ああ、わたしはどうしたらいいのでしょ
       うか。」「どうせ長くもない一生です。わたしさえいなければ
       けんかもなくなるでしょう。あの夕 日のように、わたしも海へ
       はいってしまいましょう。」と、そのまま海へはいってしまった
       のです。




           詠み人の判っている和歌と花
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                【い ぬ び わ】
        科 名;くわ科
        万葉名;ちち
        用 途;食
        【歌】知智(ちち)の實(み)の 父の命柞葉(みことははそば)の
           は母の命・・・
           語り繼(つ)ぐべく名を立つべしも
        大伴家持(おおとものやかもち)


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               【かわらなでしこ】
        科 名;なでしこ科
        万葉名;なでしこ
        用 途;観賞/薬
        【歌】なでしこが 花見る毎(ごと)に をとめ等が
           ゐまひのにほひ 思ほゆるかも
        大伴家持(おおとものやかもち)


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               【ひ る が お】
        科 名;ひるがお科
        万葉名;かほばな
        用 途;薬
        【歌】高円(たかまど)の野邊の容花(かほばな)
           おもかげに見えつつ妹(いも)は 忘れかねつも
        大伴家持(おおとものやかもち)


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             【へ く そ か ず ら】
        科 名;あかね科
        万葉名;くそかづら
        【歌】菎夾(さうけふ)に延(は)ひおほとれる
           屎葛(くそかづら)絶(た)よることなく 
           宮仕(みやつかへ)せむ
        高宮王(たかみやのおおきみ)


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            【ふ じ ば か ま】
        科名;きく科
        万葉名;ふぢばかま
        用途;鑑賞/薬
        【歌】萩の花 尾花葛花(をばなくずばな) 
           撫子(なでしこ)の花
           女郎花(をみなえし)また藤袴(ふじばかま)朝顔の花
                              《施頭花(せとうか)》
        山上憶良(やまのうえのおくら)


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               【あ じ さ い】
        科 名;ゆきのした科
        万葉名;あぢさゐ
        用 途;鑑賞/薬
        【歌】安治佐為(あぢさゐ)の八重咲く如く やつ代にを 
           いませわが背子(せこ) 見つつ思(しぬ)はむ 
        橘 諸兄(たちばなのもろえ)


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               【お み な え し】
        科 名;おみなえし科
        万葉名;をみなへし
        用 途;鑑賞
        【歌】女郎花(をみなへし) 咲きたる野邊(のべ)を 行きめぐり
           君を思ひ出(て) 徘徊(たもとほ)り來ぬ
        大伴宿禰池主(おおとものすくねいけぬし)


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               【の だ ふ じ】
        科 名;まめ科
        万葉名;ふぢ
        用 途;観賞
        【歌】藤波(ふじなみ)の花は盛りになりにけり
           平城(なら)の京(みやこ)を 思ほすや君
        大伴四綱(おおとものよつな)




             詠み人不詳の和歌と花
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                  【よ  め  な】
        科 名;きく科
        万葉名;うはぎ
        用 途;食/観賞
        【歌】春日野(かすがぬ)に 煙立つ見ゆ 
           娘女等(をとめら)し
           春野の菟芽木(うはぎ) 採(つ)みて煮(に)らしも


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                  【お  け  ら】
        科 名;きく科
        万葉名;うけら
        用 途;薬/食 
        【歌】戀(こひ)しけば 袖(そで)も振らむを
           武蔵野の宇家良(うけら)が花の 色に出(づ)なゆめ


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            【さ わ ひ よ ど り】
        科名;きく科
        万葉名;さはあららぎ
        用 途;薬
        【歌】天皇大后(てんおうたいこう) 共に大納言(だいなごん)
           藤原家に幸(いでま)しし日 黄葉(もみぢ)せる 
           澤蘭一株(さはあららぎひともと)を・・


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             【つ  ゆ  く  さ】
         科 名;つゆくさ科
        万葉名;つきくさ
        用途;染
        【歌】鴨頭草(つきくさ)に 衣色とり 摺らめども
          變(うつろ)ふ色と いふが苦し


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                【け い と う】
        科 名;ひゆ科
        万葉名;からあゐ
        用 途;染
        【歌】秋さらば 移(うつ)しもせむと わが蒔(ま)きし
           韓藍(からあゐ)の花を 誰(たれ)が摘(つ)みけむ


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            【あ お つ づ ら ふ じ】
        万葉名;つづら
        【歌】駿河(するが)の海 おしへに生ふる
           浜つづら 汝(いまし)を頼み 母に違(たが)ひぬ


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               【だ い だ い】
        科 名;みかん科
        万葉名;あべたちばな
        用 途;食
        【歌】吾(わ)妹子(ぎもこ)に 逢はず久しも甘美物(うましもの)
           阿部(あべ)橘(たちばな)の 蘿(こけ)むすまでに


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    【ひ お う ぎ】
     科 名;あやめ科
      万葉名;ぬばたま
       用 途;観賞
        【歌】居明(ゐあか)して 君をば待たむ
           奴波珠(ぬばたま)の 吾が黒髪に 霜は降るとも


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     【ふ ゆ あ お い】
      科 名;あおい科
       万葉名;あふひ
        用 途;食
        【歌】梨棗(なしなつめ) 黍に粟(あは)嗣(つ)ぎ
           延(は)ふ田葛(くず)の 後(のち)もあはむと 
           葵花(あふひばな)咲く


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【 や まは ぎ】
     科 名;まめ科
      万葉名;はぎ
       用 途;観賞/薬
        【歌】秋風は 冷(すず)しくなりぬ
           馬竝(な)めて いざ野に行かな 萩の花見に



   アクセス方法
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最寄駅はJR武蔵野線の「市川大野駅」になります。
        JR総武線の「西船橋駅」からは2駅、北総線「東松戸駅」
        からは1駅と2ルートでアクセス出来ます。

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改札正面に案内板があって徒歩ルートが記されています。
        要は広い車道を渡った向こう側の高台にある(駅からも見
        える距離・・)のですが、大野大地に沿った細い道をたどる
        ことになるので始めての時は入口を間違えないよう注意が
        必要です。
        
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改札を出たら向かって左手の横断歩道を渡ると、間もなく 
        交番の所に出ます。
        交番の先を右斜めに入って行く細い道(万葉の頃の道は
        これがスタンダード・・・奈良にある日本最古の街道と言わ
        れる竹内街道もこんなものでした)・・・これを70m~80m
        大野大地に辿って歩いて行きます。左っ手に余大きくない
        このパネルが見えたら・・ここがエントランスに当たる階段
        の下になります。
        写真では緩やかですが、スキーの初級者ゲレンデ位の斜
        度がありますからおみ足の悪い方には辛いコースになる 
        かもしれません、ご注意ください。
        その階段・・101段を登りきると正面に「万葉植物園」があ
        ります。



・・・初心者マークのページに最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「万葉植物園」は目測で東西30m×南北100m程度とサッカー場にも満たない位の比較的小さな施設です。単体で訪れるには「それだけのためにはチョット・・・」と二の足を踏むことになるかもしれません。
ただ・・キチンと手入れもされ良く整った上に江戸川から吹きぬける風の気持ちの良い施設でもありますから見過ごすにはもったいない・・・で、比較的近いルートの施設とセットにして見ると良いのだろうと思います。私は今回、東松戸駅経由で「向島百花園」と組み合わせてみました。このルートなら水元公園との組合わせも可能です。
京成本線を利用するルートなら西船橋駅で乗り換えれば、京成バラ園、川村記念美術館との組み合わせも可能でしょう。         

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